命の尊さ

何年か前に『たそがれ清兵衛』という映画を観た。
原作は、藤沢周平。

たそがれ清兵衛(真田広之)と余五善右衛門(田中 泯)の果たし合いは、息をのむ緊張感の連続だった。
戦争映画や時代劇の中、多くの命が失われるシーンがあるが、それとは違う。
一人の人間の生き死にが、ドキドキと迫ってくる。

お正月の話題作『永遠の0』を観にいく。
太平洋戦争の特攻隊員の話。
この作品、約1年前に原作を読んだ。

鍵を握る一人の男、確か原作の中では「やくざ」だった。
男は豪邸に住む謎多き人物(景浦介山)として登場する。
景浦を演じているのは、なんと田中 泯ではないか。

景浦(田中 泯)をとおして、またしても人の命の尊さに触れることになる。
生と死は紙一重かもしれないが、
いずれの作品も命の重さを十二分に考えさせられる作品だ。

大きく揺れる時代の中、「生きて家族の元に帰る」と信じていた主人公、宮部久蔵の強く熱い思いは仲間の死に悩み苦しむ。
そして、最後に一つの想いを残し、儚くも哀しい結果となってしまう。

ちなみに、主題歌はサザンオールスターズ。

隣から、すすり泣きが聞こえてくる。
エンドロールが終わり、劇場が明るくなった。
ふと、見ると十代の女性だった。